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 ■vol.16 限りある水資源と今日の地球環境

(キーワード:水、資源、地球温暖化)


私たちが生活する上で水を使用しないことは不可能です。毎日多くの水を使いながら私たちは日々生活しています。地球上には14億km3の水があると言われていますが、そのうち約97.5%は海水で、残りの約2.5%が淡水、淡水の大部分は南極や北極の氷河で、地下水、河川水、湖沼水などは約0.8%しかないそうです1。そのうち私たちが比較的利用しやすい河川や湖沼水は地球上の水の約0.01%にしかならないそうです2

その水も、地球温暖化の影響や世界の人口増加により不足することが予想されています。国連の世界人口推計では2019年の77億人から2030年には85億人、2050年には97億人、2100年には109億人に達することが予想されています3。この人口に対して、2030年までに淡水資源の不足は必要量の40%に達すると見られ、世界はグローバルな水危機への道を一直線に進んでいる、と国連広報センターは報告しています4

さらに、地球温暖化が進行し、2100年までに気温が4℃上昇した場合、世界の多くの地域で干ばつの日数が増加するとも予測されています5。温暖化では強い雨が降る頻度が増える一方、弱い雨が降る頻度が減り、弱い雨も降らない日数が増えるので干ばつの日数が増えるそうです6。また洪水も日本、中国、インド、東南アジア、南アジア、アフリカ、南米などの地域では頻度が増える一方、地中海周辺や東ヨーロッパでは減少すると予測されています7。実際、最近の日本では毎年豪雨による土砂災害などの被害が見られるようになっています。加えて、日本でも強い雨が増えている一方、降水日が減少していると環境省が報告しています8

水は農業などに利用され、各国の経済活動とも密接な関係あります。そのため隣国と水資源を共有している地域では、限られた淡水源を巡って水紛争と呼ばれる争いが起きています。水資源配分の問題、水質汚濁、所有権の問題、資源開発の問題など様々なことが原因で紛争が起きています9。さらに、紛争や無政府状態、行政の力量不足などによって整備・維持された水道や灌漑設備がない国々では水問題が深刻化しやすいといいます10。温暖化により水不足が加速した場合、現在22億人だと報告されている安全な飲み水を確保できない人口11が増え、水資源を巡る紛争がさらに増えることが予想されます。水と私たちの安全は切っても切り離せない関係であることがわかります。さらに水不足は食料価格の高騰も引き起こし、私たちの生活へも影響します。

世界規模で起きている地球温暖化は一国で解決できる問題ではありません。水も世界で共有している資源だからこそ、日本にも無関係な問題ではありません。これから不足されると予想される水資源をどのように有効に使い、限りある資源を守っていくのか、私たちの日々の行動が益々問われていくように思います。「洗う」という水が不可欠な行為においても、環境負荷を減らしていく方法を今後も引き続き模索していきたいと思います。