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 ■vol.13 洗濯洗剤とライフスタイル

(キーワード:洗濯、洗剤、ライフスタイル)


皆さんは洗濯洗剤を購入する時、何を気にして選んでいますか?粉末、液体、ジェルボールと最近の洗濯洗剤は種類も豊富で、何がどう違うのか良く調べないとわからないかもしれません。

経済産業省の資料1によると1978年以降、洗剤、柔軟仕上げ剤を含む「洗剤・界面活性剤」の生産推移は、一時低下傾向にあったものの、2001年から約20年にわたり上昇傾向で推移しているとのことで、洗剤の需要が増えていることがわかります。また合成洗剤の中でも洗濯用の粉末の生産量は減少した一方、液体の生産量が大きく増加しているそうです。また柔軟仕上げ剤の生産量も年々増加しているそうで、洗濯物の香りや肌触りまで気を配った洗濯を消費者が気にかけていることがわかります。

合成洗剤が日本に普及したのは第二次世界大戦後で、1963年に合成洗剤が石けんの生産量を上回ったそうです2。1964年には日本全国の河川で泡が浮き出すという現象が起き、その後1970年代には琵琶湖や瀬戸内海の赤潮や湖沼の富栄養化により水質汚濁が進みました3。その後、富栄養化の原因物質の一つとして注目されたリンを制御する無リン化の研究が進められ4、1985年には完全無リン化を達成したそうです5。環境負荷を減らすため合成洗剤も進化してきたことがわかります。

洗濯洗剤もその後進化し続けています。最近ではコンパクト化が進み、濃縮タイプも多く出ています。男女約1万人を対象に実施された衣料用洗剤に関するインターネット調査6によると、自分で洗濯する人のうち液体洗剤・濃縮タイプを使用している人は全体の約6割、粉末洗剤を使用している人は約2割だったそうです。ジェルボールを使用している人は約1割で、まだ少数派のようです。柔軟剤も約5割の人が使用しているとの結果になっています。洗濯時に毎回柔軟剤を使用する人や、すすぎは一回としている人は約3割で、過去の調査と比べると、すすぎ1回とする人が増加傾向にあるとのことです。またほぼ毎日洗濯している人は約35%、女性の30代以上では各5〜6割になったそうです。

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(参照:マイボイスコム株式会社による調査結果)


また別のインターネット調査で洗濯に関するアンケートを男女4114名対象に実施したところ、洗濯洗剤の機能で重要視しているのは洗浄力や汚れ落ち(71.1%)、黄ばみが落ちる(27.6%)、仕上がり具合(風合い、肌触りのよい仕上がり)(26.4%)との結果が出たそうです7。さらに別のアンケート調査では全国の主婦100名を対象にしたところ、56%の人が洗浄力を重要視し、22%が消臭・除菌効果、その次に8%が肌への優しさと答えていました8

一人暮らし、小さい子どものいる家庭、部活動をしている子どものいる家庭、共働きの家庭など、私たちのライフスタイルもそれぞれ違います。仕事をしながら家事をする家庭も多く、週末のまとめ洗いや夜干しも増えてきています。清潔志向も高まり、環境へ配慮する人も増えてきています。それに応じて洗濯機も洗剤も進化し続けています。洗濯洗剤には私たちのライフスタイルや価値観が良く表れています。洗濯といっても、家族形態やライフスタイルの違いでやり方や頻度が違ってきます。その多様性があるからこそ、洗濯の環境負荷を減らすことも容易ではありません。日本人の清潔感と洗濯の多様性に対応した環境に優しい洗濯に必要な選択肢をさらに探っていきたいと思います。