未来洗浄研究会

■vol.9 新型コロナウイルス感染症と環境

（キーワード：環境問題、大気汚染、新型コロナウイルス感染症）

新型コロナウイルス感染症（COVID−19）の感染が世界各地で拡大しています。日本では4月7日に政府が緊急事態宣言を出し、不要不急の外出を避けるように呼びかけています。感染予防のため、在宅ワークが導入されたり、学校が休校になったり、飲み会がオンラインになったりする等、私たちの生活も一変してしまいました。アメリカではメディアが現状をNew normal（新常態）という言葉で表現し、それにどう適応していくか議論しています。皆さんはこの新しい生活でどんなことを感じていらっしゃるでしょうか。

人間にとっては悪影響を及ぼしてばかりの新型コロナウイルスですが、自然界では人々が自宅にいることで良い変化があったと報道されています。大気汚染が深刻だった都市部での汚染が改善され、インドでは30年ぶりにヒマラヤ山脈が見えたとの報道もありました1。アメリカのヨセミテ国立公園ではクマやコヨーテなどの野生動物が普段は人が多くて出てこられない場所に、のんびりと姿を現しているそうです2。

アメリカでは失業率が上がり、2020年1月から3月のGDP（国内総生産）が11年ぶりの低い水準に落ち込んだと報道されていましたが、現在、経済活動を再開する動きが始まっています。新型コロナウイルスの猛威で予期せず自然があるべき姿を取り戻しているのを見ると、どのように経済を再開させるべきなのか、考えさせられます。また大気汚染が新型コロナウイルス感染症の致死率をあげる可能性があるという記事も出ています3。このことは以前取り上げたマイクロプラスチックの問題と同じように、自然環境と私たちの繋がりを示していると思います。

今回の世界的危機から何を学んで今後にどう活かしていけるのでしょうか。今起きていることを契機として、私たちにとっても自然にとってもサステナブルな生活とはどういうものなのか、今何をするべきなのかを考えながら毎日を過ごしていきたいと思います。

※ 未来洗浄研究会の設立メンバーであるFuture Earthは新型コロナウイルス感染症に関する研究や活動を紹介しています。是非ウェブサイトをご覧ください。